考えたこと

逃げ恥の作者がアンデルセン童話を通して描くエロティシズム

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「逃げるは恥だが役に立つ」の作者、海野つなみが官能童話を書いているのはご存知ですか?

アンデルセン童話の「ブタ飼い王子」が元になっていて、「豚飼い王子と100回のキス」という1巻完結の漫画です。

「官能」と思って読むと「なんだ、たいしたことないじゃん」と期待はずれだったという方もいるようですが、童話好きの私としては作者海野つなみの解釈が入った「豚飼い王子と100回のキス」がとても好きになりました。

元になったアンデルセン童話はほとんどが起こったことを書いているだけで、登場人物の心情まで詳しく書かれていません。

なぜそういう行動をとったのか登場人物の心情を加え、結末もちょっと変えたのが海野つなぎの「豚飼い王子と100回のキス」です。

「逃げ恥」を少し読んだ時は「絵があまり私の好みではないな」と思って読むのをやめてしまったのですが、この漫画は特別でした。

アンデルセン童話・ブタ飼い王子

あらすじ

元のアンデルセン童話を知らない方向けに、簡単にあらすじを紹介します。

貧しい国ではあるものの、イケメンで賢い王子さまが皇帝の娘(以降、お姫さま)に自分が一番大切にしているものを贈って求婚しますが、お姫様はあっさり断ります。そして、お姫さまは王子さまが会いにくることも許しませんでした。

王子さまは皇帝のお城でブタ飼いとして雇われ、お姫さまと接触しようとします。

珍しいおもちゃでお姫さまの気を引き、「おもちゃが欲しければあなたのキスをください」とブタ飼いはキスをねだります。

お姫さまはおもちゃ欲しさに自分の身分を忘れ、ブタ飼いとキスをしてしまいます。

その場面を皇帝に見つかってしまったお姫さまとブタ飼いは皇帝のお城から追い出されます。

ブタ飼いは、自分が結婚を断られた王子であると正体を明かしたうえで「ぼくはあなたを軽蔑する」と言い残して、自分だけ自分の国に帰ってしまうんです。

物語はここでおわりです。

原作から得られる印象

おもちゃのために自分の貞操を簡単に差し出す、バカなお姫さま。

ブタ飼いになってまでお姫さまに近づいたのに、お姫さまじゃなくなった途端に興味をなくす利己的な王子さま。

といったところでしょうか。

たしかにおもちゃ欲しさにブタ飼いと簡単にキスを許してしまったお姫さまは考えが足らなかったと思いますが、最後にすべて失ってしまうのは後味がよくありませんでした。

 

漫画はここが違う!

矛盾する感情に振り回される王子さまとお姫さま

豚飼いになった王子さまは、おもちゃのために自分の体を差し出すお姫さまを軽蔑しながらも、お姫さまとの甘いひとときを楽しみます。

自分からおもちゃの代わりにお姫さまのキスを求めるのに、心ではお姫さまが応じないことを願います。

お姫さまは、豚飼いに体を許すのはいけないことだと分かっていながらも、一度感じた官能が忘れられず、回数を重ねてしまいます。

2人の感情を書き表す描写を追っていくうちに、物語の深みへとハマって行ってしまうんです。

また、「王子さまの大切な贈り物をなぜお姫さまが喜ばなかったのか」についても海野つなみ目線で書かれています。

原作ではわがままでバカな女に過ぎなかったお姫さまも、「なぜそう思ったのか」というお姫さまの考えを知らされることで、急に共感できるようになってきます。応援したいと思えてきます。

キスだけでは終わらない

原作はブタ飼いがおもちゃの代わりにお姫さまのキスを求めますが、詳しい描写までは描かれていません。

一方漫画は、詳しく描かれているだけでなく、キスだけで終わりません。

最初はフレンチなキスから始まり、どんどんディープになっていきます。

漫画も原作通りに豚飼いは100回のキスを求めるのですが、漫画では更にお姫さまにあることを提案します。

それは「100回のキスを早く終わらせる方法」。

描写はとても丁寧で、艶めかしくて、女性のために描かれたエロティシズムな漫画、といった感じです。

海野つなみが描いた結末はどうなるのか?

私のレビューで興味を持ってくださった方は、妊活の気晴らしに呼んでみてください!

想像力をかきたてられる、メルヘンな官能の世界が味わえます。

2018.7.5

結衣子

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